現在公演中のミュージカル『RENT』で最年少のロジャーを熱演じている甲斐翔真。来年1月28日からはミュージカル『マリー・アントワネット』でマリーの愛人・フェルセン伯爵を演じることとなる。その心境を伺った。
■ミュージカル『RENT』が開幕して1週間。ここまでの手応えはいかがですか?
「個々でもチームとしても本番を積み重ねていくたびに更新している感じがしています。お互いの信頼関係が深まると、舞台上での新しい発見があったり、自分の中での課題も1つクリアすると、また新しい課題が見えてくるというのもありますね」
■少し余裕が出てきたからこそ見えてくるものがあるようですね。
「それはあるかもしれません。ゲネプロの時と比べたら少しずつ周りを見れるようになってきて、自分の考えがハッキリとしてきて動きに迷いがなくなってきたというか。そうすると僕以外の人の気持ちの流れというものも、だんだん明確にわかってくるし、その先にある何かが見え始めている気がします」
■見事に甲斐翔真のロジャーでしたね。真っ直ぐで、それ故に苦悩している姿が健気で。観劇しながらロジャーと一緒に心を痛めていました。
「本当ですか? うれしいです(照笑)。ブロードウェイの方々の、『RENT』の登場人物達の、あの擦れた感じというのが僕にはまだないんですよね。きっと年齢を重ねてたくさん経験を積んでいけば、また違ったロジャーの色が出るのかもしれません」
■(取材時は)まだ22歳ですもんね。
「ハイ。最年少ロジャーです」
■『RENT』の公演は12月12日まで続き、次なるミュージカルが『マリー・アントワネット』(以下、MA)という、すごい振り幅ですね。
「(笑)ちょうど1年前くらいにオーディションに受かったとの連絡をいただいたんです。“こんな壮大なミュージカルに受かったらスゴいな”と思っていたので、いざ受かったと聞いた時には最初“MA”のステージに立っている自分が想像できませんでした。この作品は、僕の中で新境地になると思います」
■作品自体にはどんな感想をお持ちですか?
「“MA”がすごく好きなんですよ。初めて観た時に“うわ、なんだこれ!”と感動して。舞台に限らず映画などでも、ハッピーエンドの作品よりもグサッときて何かを提示してくるほうが僕は好きなんですよね。まさに“MA”はそういう作品で、人間の本質を描き出しているなと思いましたね。マリー・アントワネットを通して、人間の過ちを勉強できる場所のような気がしました」
■甲斐さんが演じるフェルセン伯爵は、スウェーデン貴族であり軍人でもある。そしてマリー・アントワネットの愛人です。現時点でどのような人物と捉えていますか?
「人間に接する時に、立場や地位に関わらず、ちゃんとその人と向き合える人。とても頭がよくて誰にも流されずに、自分の意志で行動できる人。あの時代って自分の意志が通らないことのほうが多かったと思うんです。そんな世の中で国をまたいで行動できるって、とてもアグレッシブですよね。そして、人思いであり、愛に対して真っ直ぐなんだけど、そこに溺れずに現実を観れる人」
■素晴らしい人間じゃないですか。
「ただ、ロジャーからギアを変えてやっていかないとな!と思っています。ファンの方が“同じ甲斐翔真なのかな?って”ビックリするくらいにやりたいですね」
■共演者の方の中で交流のある方はいらっしゃるんですか?
「マルグリット役のソニンさん(Wキャスト)は、前にワークショップでご一緒にお芝居したり、ミュージカルのレッスンを受けたこともありますし、『RENT』の稽古を観に来てくださったりもして、先生みたいな存在です」
■そうなんですね!
「でもすごく楽しみですね。僕は以前、ソニンさんのマルグリットを拝見しているので。ただでさえ圧倒されるのに、その時は前のほうの席で、全身に突き刺さるような迫力を感じて、“すごいな!”って思ったんですよね。そんなマルグリットと同じ舞台に立てるなんて、“光栄”以上の言葉があるなら使いたいです。他のキャストのみなさんも素晴らしい方ばかりで、その中に僕が入るなんて、と思うところもあるんですけど、2度とないチャンスだと思って、カーテンコールの時にちゃんとその場に立っていられるように食らいついていきたいです」
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[プロフィール]
■甲斐翔真(かいしょうま)
’97年11月14日生まれ。東京都出身。最近では、ミュージカル「デスノート THE MUSICAL」に夜神月役で主演。現在、ミュージカル『RENT』に出演中。今後は、ミュージカル『マリー・アントワネット』(’21年1月28日 ~2月21日 東急シアターオーブ)が控えている。
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Photo ⇒ コザイリサ
Text ⇒ 三沢千晶
Hair&Make-up ⇒ 木内真奈美(Otie)
Styling ⇒ 山本隆司
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【Stage Information】
ミュージカル『マリー・アントワネット』
2021年1月28日(木)~2月21日(日) 東急シアターオーブ
脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
演出:ロバート・ヨハンソン
遠藤周作原作「王妃マリー・アントワネット」より
出演:
マリー・アントワネット…花總まり / 笹本玲奈(Wキャスト)
マルグリット・アルノー…ソニン / 昆 夏美(Wキャスト)
フェルセン伯爵…田代万里生 / 甲斐翔真(Wキャスト)
オルレアン公…上原理生 / 小野田龍之介(Wキャスト)
ルイ16世…原田優一
レオナール…駒田 一
ローズ・ベルタン…彩吹真央
ランバル公爵夫人…彩乃かなみ
ほか
製作:東宝
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